ファシリテーターの意味とは?役割やコツ、求められるスキルまで徹底解説!
ファシリテーターという言葉を耳にしたことがあるでしょうか?ファシリテーターという言葉をご存知でしょうか。これまでも、この言葉を耳にする機会があったかもしれません。しかし、その言葉の意味や役割については、様々な解釈があります。この記事では、ファシリテーターの意味と役割について、基本的な考え方を解説し、ファシリテーションがもたらす効果やファシリテーターの養成方法を紹介します。是非、参考にしてください。
目次
- ファシリテーターの基本的な意味
- ファシリテーターの具体的な役割
- ファシリテーションがチームや組織にもたらす効果
- ファシリテーターが活躍する場面
- ファシリテーターに求められるスキル
- ファシリテーターの養成方法
- まとめ
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ファシリテーターの基本的な意味
まずは、ファシリテーターの基本的な意味について解説します。ファシリテーターという言葉は、ファシリテーション(facilitation)が元となっています。ファシリテーションの原意であるfacilitateという動詞には、「促進する」「容易にする」「簡単にする」「スムーズに運ばせる」という意があります。
また、Cambridge Dictionaryによると、ファシリテーション(facilitation)とは、問題への取り組みや最終的な合意の達成、また、問題解決を間接的にサポートする行為を意味します。つまり、ファシリテーションとは、スムーズに物事が運ぶように舵取りし、チームや組織のゴール到達をサポートする行為であり、その役割を果たすのがファシリテーターであると理解できるでしょう。
詳しくは、ファシリテーターとは?を参照してください。
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ファシリテーターの具体的な役割
ここまで、ファシリテーターの意味と役割について簡潔に確認をしました。ここからは、ファシリテーターが、何をすることによって、チームや組織を支えていくのか、ファシリテーターの具体的な役割についてみていきましょう。
ファシリテーターは、チームや組織にとってのサポーターであり、会議の質を向上させることが、最も重要な役割です。参加者個々人の不安や不満を取り除くこと、または、参加者全体の馴れ合いや散漫な空気を引き締めることによって、会議の場に安心感を生み出しつつ、ゴール到達に向かう集中力を高めます。会議の場にとって重要である、心理的安全性については、関連記事も合わせてお読みください。(心理的安全性)
このように、会議の場の質を改善・向上し、なりがちな会議を、より理想的な創りたい会議へと変化させることが、ファシリテーターの役割といえるでしょう。
ファシリテーションがチームや組織にもたらす効果
では、会議の場の質が向上することによって、どのようなベネフィットが考えられるでしょうか。次は、ファシリテーションがチームや組織にもたらす効果についてみていきましょう。
参加者一人一人の不安や不満が取り除かれ、会議の場が心理的に安全な場となると、参加者にとっても、チームにとっても、さらには会議にとっても、ポジティブな効果が生まれます。
まず、参加者は、会議のプロセスよりも、内容に集中できるようになります。また、個人的な不安がなくなることにより、客観的な考察・意思決定を通して議論ができるようになります。
また、安心感と集中力の向上により、チーム全体のエンパワーメントが促進され、団結力が高まります。その結果として、会議の効率性が高まるほか、議論の最終決定に対して、参加者のコミットメントが得られるようになります。
このように、ファシリテーターの仕事は、チームや組織に対し、個人、チーム、会議という3つの観点においてベネフィットを与えることができます。
ファシリテーターが活躍する場面
次に、ファシリテーターが活躍する場面についてご紹介します。ファシリテーターは、現状、以下のような場面において活躍しています。各項目の関連記事と合わせてご参照ください。
- 企業のワークショップ(ワークショップとは)
- 地域コミュニティや専門団体の意見交換やプロジェクトの進行
- 教育・研究の現場のディスカッションやグループワークの進行
- チームビルディングのイベント(チームビルディングとは)
- 意見が分かれる議題に対するコンセンサス形成(コンセンサスとは)
- その他プロジェクトやタスクフォースの立ち上げ
本記事前半は、ファシリテーターが、チームや組織において、どのような役割を果たすのかを明確にしてきました。上記の通り、ファシリテーターの最も重要な仕事は、会議の場の質を改善・向上し、チームや組織のゴール到達をサポートすることです。
しかし、会議の場の質を向上させ、ゴール到達を達成するのは、容易なことではありません。チームや組織は様々な個人の集まりであり、その様態や質は常に変動するものです。したがって、ファシリテーターには、直線的・マニュアル的な対応力ではなく、その場その場の変化に応じた、柔軟な対応力が求められます。
そこで後半は、ファシリテーターに求められるスキルについてみていきましょう。
ファシリテーターに求められるスキル
ファシリテーターに求められるスキルは、大きくわけて2つあります。1つ目はコミュニケーションスキル、2つ目はファシリテーションスキルです。
- コミュニケーションスキル
- ファシリテーションスキル
コミュニケーションスキル
まずはファシリテーターに必要なコミュニケーションスキルについてご説明します。関連記事(コミュニケーションスキル)と合わせてお読みください。
本記事冒頭でご紹介した、Cambridge Dictionaryのファシリテーション(facilitation)の意味説明にも示されているように、チームや組織にとって、ファシリテーターは、あくまでも間接的なサポート役です。したがって、ファシリテーターにとって最も重要なコミュニケーションスキルは、参加者の真意を把握する傾聴力です。
まずは、発言者の話すリズムに合わせてあいづち、うなずきをする、ペーシングが基本です。その上で、傾聴には、2つの種類があることをおさえておきましょう。
1つ目は相手の言葉をとらえる内容傾聴、2つ目は、相手の言葉の意図をとらえる感情傾聴です。
内容傾聴
内容傾聴では、相手の言葉を真っ直ぐに受け止め、話の内容やキーワードをまとめます。いかなる発言でも、ファシリテーターが内容の良し悪しを判断することはありません。内容を受け止めていることを発言者に伝えるために、「だけど、でも、しかし」というような、否定的な接続詞は用いず、代わりに、「だとすれば、さらに」というような、次の思考や発言を促す言葉を投げかけ、議論を進めていきます。
感情傾聴
一方、感情傾聴では、言葉だけでなく、相手の様子を深く観察することによって、言葉の背景にある真意や感情を感じとります。ただし、内容傾聴も感情傾聴も、ファシリテーターが身につけるべきスキルとはいえ、相手の内容や意図などを100%完全に理解することは不可能です。場合によっては、ファシリテーターの思い込みによって話を進めてしまう危険性もあります。したがって、発言の内容や、感じ取った発言者の意図や感情に対しては、常に「このように受け取りました/感じましたが、いかがですか」というように、確認をとることが重要です。
ファシリテーションスキル
次にファシリテーターに必要なファシリテーションスキルについてご説明します。ファシリテーションスキルについては、事前準備となる会議デザインと、会議当日の会議実践に分けてみていきましょう。
<事前準備>
まずは事前準備の段階です。ファシリテーターは、チームや組織の会議の流れをスムーズにするために、効果的な会議デザイン力が必要です。業務効率を上げる効果的な会議の進め方については、関連記事(会議の進め方)をご参照ください。
会議デザインでは、会議の目的を明確化するために、アジェンダシートの作成をします。以下はアジェンダシートの項目例です。
- 開催日時
- 開催手段
- 議題
- ゴール
- 参加者リスト
- 所要時間と主要な項目
アジェンダシートで会議のテーマとゴールを明確にしたあとは、ゴールを達成するためのルール設定、会議の起承転結、オープニングとクロージングの流れを考え、会議当日に備えましょう。
<会議当日>
次に会議当日の段階です。ファシリテーターは、会議をスムーズに進められるよう、高いリーダーシップと会議実践力が必要です。会議実践においては、本記事の前半でも触れたように、参加者の心理的安全性を確保することがファシリテーターの重要な仕事になります。そのために、参加者の基本的な3つの要求「生理欲求・安全欲求・所属欲求」をクリアした会議を実現しましょう。
まず、生理欲求については、対面では声の音量や部屋の温度の問題、オンラインでは接続環境や画面共有の問題などが関わります。参加者が生理欲求に関する不安や不満を伝えるのは、場によってはハードルが高い場合があるので、ファシリテーターが積極的に「確認」をとるようにしましょう。
次は安全欲求についてです。人は見えないものに対しては不安を抱いてしまう生き物です。しかし、議論で話す内容や参加者の気持ちは、そのままでは目には見えませんし、形として残りません。参加者の安全欲求をクリアするには、ファシリテーターが、板書をすることにより、見えないものを「見える化」する必要があります。『ファシリテーショングラフィック 議論を「見える化」する技法』 (堀公俊+加藤彰、日本経済新聞出版社)によると、板書とは、「議論の内容を、ホワイトボードや模造紙などに文字や図形を使ってわかりやすく表現し、『議論を描く』こと」を意味します。板書は、「人の話」に出てきた事柄と思いを、 「描く」という手段で見えるようにし、残す手段です。板書には様々な形があり、以下はその一例です。関連記事(議事録の作成)と合わせてご覧ください。
1.キーワード(キーフレーズ)を書き出す
発言の中からキーワード(キーフレーズ)を抜き出し、発言のポイントを短い文章に要約しましょう。
2.キーワード(キーフレーズ)に装飾を加える
キーワード(キーフレーズ)に、カコミ、記号、数字、ひと形、表情などの装飾を加え、キーワードのイメージをより具体的にしましょう。
3.キーワード(キーフレーズ)同士の関係を明らかにする
キーワード(キーフレーズ)が複数ある場合、その関係性を明確に示しましょう。
キーワード(キーフレーズ)同士の関係性の例
・原因と結果
・対立
・双方向
・強い関連or緩い関連
・直接的or間接的な関連 ・分岐
・循環
4.フレームワーク(図解)を活用する
その場の目的に応じたフレームワーク(図解)を活用しましょう。
フレームワーク(図解)の種類と目的の例
・ブレーンストーミング
→画期的アイディアを求めたい時、チームビルディングや雰囲気作りがしたい時
・親和図法
→少数の参加者が議論を独占することを防ぎたい時
・ロジックツリー
→問題の原因を深堀り、解決策を具体化し整理したい時
・ペイオフマトリクス
→複数の選択肢を絞り込みたい時、アイディアの優先順位を短時間でつけたい時
最後は、所属欲求についてです。会議の場が、参加者が孤独な状態を感じるような場になってしまっては、一人一人の参加意欲が失われ、せっかく集まっているのにも関わらず、議論に十分なコミットメントが得られなくなってしまいます。会議のオープニングでは、いきなり本題に入るのではなく、参加者にとって居心地の良い場づくりをしましょう。ここでは、どのような現場においても有効なオープニングの3ステップをご紹介します。
1.挨拶
挨拶は、お互いの存在を承認する最もシンプルな方法です。
全体への挨拶に加え、名前を呼ぶことができると、参加者一人一人を大切に思う気持ちが伝わります。
2. アイスブレイク
参加者全員でワークを行うことによって、一体感を高めることができます。アイスブレイクとして実践できるワークは様々あるので、その場の空気を観察し、作りたい空気に合わせてワークを選べるようになりましょう。
3. チェックイン
チェックインでは、参加者に名前・仕事の近況・プライベートの近況、また、「今の正直な気持ち」や「気になっていること」などをありのままに、1分程度でお話してもらいます。参加者全員が、自由に、正直な気持ちで発言をする機会を得ることができるため、議論の本題に入ってからも、発言をしやすくなります。
本記事後半では、ファシリテーターに必要なスキルを、コミュニケーションスキルとファシリテーションスキルの2つに分けてご説明してきました。傾聴力、会議デザイン力、参加者の「生理欲求・安全欲求・所属欲求」をクリアする会議実践力のあるファシリテーターは、参加者の心理的安全性が確保された、会議の場を創り出すことができます。
しかし、これらのスキルはどれも簡単に身に付くものではありません。実際にチームや組織でファシリテーターとして活躍するためには、知識の習得と実践の両方が必要です。最後に、ファシリテーターの養成方法を、知識の習得と実践の2点からご紹介します。
ファシリテーターの養成方法
ファシリテーターのスキルを身につけるには、まずは専門的な知識の習得が必要です。ファシリテーターの知識を身につける方法は、まず研修やセミナーに参加することが有効です。企業研修(企業研修の目的)や専門機関が開催する講座を利用しましょう。
弊社では、講師派遣型研修にて、ファシリテーション研修を数多く提供している実績がございます。
また、組織内でファシリーテーションについてのフィードバックをし合える関係性を築くことで、お互いのスキルを向上し続けることができます。
ファシリテーターのスキルの専門性を証明するためにも、関連資格の取得もおすすめです。具体的な資格については、(ファシリテーター資格)をご覧ください。
ファシリテーターのスキルを身につけるには、実践を通して経験を積むことが重要です。チームビルディングやワークショップの機会を積極的に作り、実際に現場で活動することで、スキルを磨きましょう。ファシリテーターの実践方法については、関連記事(社会人向けワークショップの活用方法)も、合わせてご覧ください。
まとめ
ファシリテーターは、様々な場面で活躍するプロフェッショナルです。コミュニケーションスキルとファシリテーションスキルを身につけ、効果的なファシリテーションを行うことが求められます。研修や実践、メンターからの指導、資格取得を通じて、ファシリテーターとしてのスキルを磨きましょう。そして、企業やコミュニティ、教育や研究の現場で、効果的なファシリテーションを実践し、参加者同士のコミュニケーションを促進し、意見の共有や問題解決をサポートする役割を担いましょう。
ファシリテーターとして活躍することで、組織やチームの協力関係を強化し、より良い成果を生み出すことができます。これからの時代に求められるファシリテーターとして、スキルを磨いていくことが大切です。
また、弊社共創アカデミーでは、組織パフォーマンス向上のための実践形式の法人研修を行っております。大企業や中小企業、行政等における風土改革・組織開発の豊富な経験から、実際に現場で効果を出した取り組みを豊富にご紹介します。ぜひお気軽にお問合せください!
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