「粋の3要素」を兼ね備えた、魅力的なリーダー
おかげさまで日本最大のHRイベント「HRカンファレンス2021-秋-」での登壇セミナーも盛況に終わりました。
セミナー後の反響から鑑みるに、現在現場のニーズとして下記の3つが浮き彫りになったと感じています。
ひとつはリーダーの育成。
2つ目は組織の成長力の向上。
3つ目はチームの連携力です。
とりわけ現場の次世代のリーダー育成に関して非常に高い問題意識をお持ちの方が多いことが改めてわかりました。
高度成長期にサラリーマン時代を過ごした私たちの世代は、おこがましく言えば環境がリーダーを育ててくれたようなものでした。
年齢とともにわかりやすくグレードや責任が上がっていくので、とにかくがむしゃらにやっていれば、勝手にリーダーが育った。そんな組織風土だったように思います。
ですが、現在そんなやり方はもちろん通用しません。
変化を主導する、新しい時代のリーダー像を育成するには理想のリーダー像を明確にすることから始めるのがよいのではないでしょうか。
そう考えた時、先ごろ日本ハムファイターズに誕生したBIG BOSS新庄剛志新監督のあり方は私が日頃から提唱している魅力的なリーダー像にかなり当てはまります。
そこで、今日はとてもわかりやすい例として新庄監督になぞらえて、魅力的なリーダー像について考えてみます。
私が思う「魅力があるリーダー」とは端的に言えば、こんなリーダーです。
いつもビジョンを語り、いつも信じて任せ、いつもご機嫌でいることを選ぶ。 |
とりわけ私たちが彼から見習うべきは自分軸の明確さでしょう。
「セ・リーグでもパ・リーグでもない。新庄剛志だ」というブレない自分軸はチームのメンバーを牽引するのに非常に効果的です。
誰かの真似ではない、自分自身になる、ということ。
自分らしさを知るために、自分とは誰か、という課題にとことん向き合うこと。
実は案外、これが不得手な人が多いのです。
魅力的なリーダー像に必要な要素として私は3つの要素を提唱しています。
これまでもコラム(「いき」の構造に倣う、リーダーシップ)などで度々取り上げていますが、九鬼周造の「『いき』の構造」に拠り、意気地×諦念×媚態の「粋の3要素」を効果的な自分軸の指標として因数分解したものです。
意気地とは目的とゴールイメージ、譲れない価値観=VISIONを明確にする心意気
諦念とは部下に委ねて任せて責任をとり、次世代につなぐ大きな夢を持つこと
媚態とは相手に合わせる余裕を持ち、いつもご機嫌でいることを選び、場と調和すること
どうでしょうか。
新庄監督には「世界一のチームにする」という鮮やかなVISIONがあります。
併せて「優勝は目指さない」という、彼流の諦念があります。
さらに場と調和しながら、いつも自分自身がご機嫌でいる媚態も持ち合わせています。
記者会見のパフォーマンスでファンクラブの新規会員が8倍にも10倍にも膨れ上がったというのですから、他球団を凌駕する注目度(競合優位性)という点においては既にチームへの貢献に成功しています。
リーダーとは、付き従うメンバーがいなければリーダーにはなれません。
もちろん、成果やメンバーの成長に直結する、戦略的なスキルやツールを持つことも重要です。
これに関しても経験とファクトに裏付けされた独自の「勘ピューター」という武器を持っているようです。
「夢は大きく、根は太く」という彼の言葉が示すように、成果を上げるには地味な練習の大切さも身をもって知っているでしょうし、「いただきます、ありがとう」を重要視し、「人の悪口を言わない」という人としての誠実さもうかがえます。
注目度が高い分、賛否両論あるでしょうが、リーダーのあり方として私たちが新庄監督から学ぶべき点はとても多いと感じています。
最後に彼の日々のつぶやきの引用で締めたいと思います。
夢を掴む為にはまず周りに発信すること
人を笑顔にしたいなら自分が笑顔でいること
感謝されるには自分から感謝すること
その場を楽しませるには、まず自分が楽しむこと
失敗しない為には 失敗しない準備をしておく
何かをやってもらう方法は まず自分からやること
(2021/12/3発信 新庄剛志@twitterより)
まさに自律型人材のお手本ではないでしょうか。
しばらくBIG BOSSから目が離せそうにありません。
代表取締役 中島崇学