エンゲージメント向上にいちばん大切なこと
「社内のエンゲージメントを向上させ、定着率を高めたい」
「若いメンバーのモチベーションをあげるにはどうしたらいいか」
おかげさまで経営者や部門長クラスのリーダーの方々からこうしたご相談を受けることが日増しに増えるようになりました。
つい最近までエンゲージメントという言葉はモチベーションの向上とセットで語られることが多かったように思います。
ハーバード・ビジネスレビューに拠れば、エンゲージメントの定義は「企業が目指す姿や方向性を従業員が理解、共感して自発的に貢献しようとすること」とあります。
また別の調査ではエンゲージメントが高い人はグループで仕事をしている人が多いという傾向がわかっています。
人間は他者のために働く時、自身の能力を最も大きく発揮することができるといいますから、この結果は頷けます。
自分の満足感よりも「仲間の喜ぶ顔がみたい」「人の役に立ちたい」「感謝されることがうれしい」という実感が自然と湧いてくる職場であれば、人はその場所にい続けたいと思うのではないでしょうか。
私も一人の経営者として願わくば、メンバー達と長く一緒に働きたいと思います。
そこで「エンゲージメントや定着率の向上」を自分事に置き換えて考えてみますと、それらの向上を望むなら人事制度改革やITツールの充実を計る前に、もっと大切なことがあると思わずにいられません。
日頃、仲間と接しているとき、私が何をいちばん大切にしているかと問われるなら、「自分の夢はいつも他人が叶えてくれた」という、これまでの経験と事実に行きつきます。
これは「しあわせに生きるためにはひとりでは成立しません」という、ダライ・ラマの言葉にも通じるかもしれません。
私はこの言葉を「あなたが成し遂げたい志は受け取る人がいて、初めて成立する」と受け止めています。
つまり、いろいろな人の思いを受け取り、組織の中で自分が活かされ、役に立てたと思える機会がたくさんあればあるほど、人は自分自身の力を活き活きと発揮できる。
そう信じます。
自分の夢を叶えてくれた部員には自然と感謝や尊重の気持ちが生まれます。
同時に「だとすれば、私は誰の夢を叶える存在なのだろう」と自分の足元を見つめ直し、まだ見ぬ誰かに対して思いを馳せる喜びも生まれます。
これが業務中心でチームワークが置き去りになっていると、仲間意識は生まれません。
人間の身体を構成している細胞はもともと同じ細胞でありながら、与えられた場所でそれぞれ違う役割を果たす能力が開花したといわれます。
心臓は心臓としての、肝臓は肝臓としての、腎臓は腎臓としての役割を果たしつつ、時に何かひとつが欠損すると、ありあわせのもので何とかする。
ポジションに執着せず、傷ついた細胞のために黙々と働く。
それが私たちの本能というわけです。
全体が永らえるために、絶えず自分を壊しながら与えられた場所で能力を開花させていく。
成長や改革とは、リーダー自身が惜しみなく自分を壊すことからはじまるのかもしれません。
ひとたび仲間と一緒に目指すゴールイメージを掲げたら、一つ所に凝り固まらず、縦横無尽に自在に変化を恐れず、挑戦する。
「この仲間たちと一緒に目指す」という希望こそ、私を強くしてくれるものにほかなりません。
というわけで今年の春は、そんな思いをオープンセミナーや横断研修で仲間たちと一緒にどんどん発信していきたいと考えています。
3月は「若手の定着率を高めるコミュニケーション」と題した公開セミナーを開催予定です。
参加無料です。私たちと一緒に考えてみませんか。
代表取締役 中島崇学