Yes Andの実践から
対話の縁側のメンバー、チームひだまりの各自が、「Yes And※」を実践してみる、というお題を持って過ごした2週間。
さてどんな気づきがあったでしょうか。
ファシリテーション塾で学ぶ仲間と塾長のとうりょうで語り合う朝の対話の時間「対話の縁側」です。
※Yesで相手の想いを受け取り、Andの接続詞(そして、さらに、だとすれば…)で返していくコミュニケーションです。ファシリテーション塾や企業向け研修においては、このYes Andの共創型コミュニケーションを実践的に身につけていきます。
縁楽:この2週間、各自で「Yes And」を意識して過ごしてみて、どうでしたか?
Waka:私はリモートワークでChatのYes And にトライしてみたのですが、結果から言うとうまくいきませんでした。
テキストでYesを打っているうちに、なかなか本題に入れず、Andも解決策に終始してしまい、深いところでつながれた感覚をもつことはできませんでした。
とうりょう:そのChatを通じて仕事は、前に進んだんでしょうか?
Waka:はい、業務を前に進めるという目的は達成できたものの、相談者に納得してもらったか、という点では失敗だったと感じています。
とうりょう:前に進む、という目的は設定どおりに達成したわけです。にもかかわらず「失敗だった」と感じるWakaさんの言葉には何があるのでしょう。
Waka:今気づいたのですが、自分にとっての目的は、業務を前に進めることでしたが、相談してきた人の真の目的は、「不安や不満をわかってほしい」ということだったのだな、と思います。
そして私自身も、本当ところはYes を通じて、相談者ともっと深いところでつながりたい、Andを通じでもっと彼女の力を引き出したい、成長してほしい、というのが真の目的だったと、今気づきました。
とうりょう:「真の目的」に今気づいたということですね。
Yes And は手段で、その手法を実行することは目的ではないのですよね。
今回は真の目的が食い散っていた、ということかと思います。
目的が食い違ったままYes Andの手法だけを使っても、結果はどちらかが屈伏するということになってしまいますね。
目的だと思っていたことが、心から嬉しいと思える真の目的ではなかったということは、よくあることです。
カーナ:ビジネスでのChatは、スタンプを多用するわけではないので、感情のやり取りが難しいなと思います。
Wakaさんのケースも、感情レベルのやり取りがもっとできていればまた変わったのかもしれませんね。
とうりょう:本当にテキストレベルのやりとりは難しいところがありますね。
そしてテキストのみで互いの真の目的を把握する、というところにも難しさがありますね。
今になってWakaさんが自分の真の願いや目的に気づいたように。
相談者の人にも自分でも気づいていない真の思いがあったかもしれません。
まずは自分の真の目的に気づき、Yesするところから、だったともいえるでしょうね。
カーナ:私は知り合いの「こういうことをしたいのだけど、どうしたらいいのか・・・」という相談に乗った時の経験を共有したいと思います。
まずは本人の「こういうことをやりたい」という願いの部分をYes して受け止めていきました。
何度かYesをしているうちに、相手の目線が上がってきて、「じゃあ、どうしたらいいんだろうね?」と問いかけると、本人から次のアクションが出てきて、自らやってみると言ったのです。
私が何かを足さなくても、Yesを積み重ねていくと、自然にAndの部分はでてくるのだなあ、という体験でした。
とうりょう:今のカーナの体験は、まさにファシリ塾でも紹介している「Yesの2つのステップ」の実践ですね。
「相手を大切に思う心、味わう心、調和する心」を持って聞き、そこから「相手の創りたい世界や願い、大切にしたい価値観」を感じ取るということですね。
カーナ:相手に「あなたの大切にしたい価値観はなに?」といきなり聞いてでてくるものでもないので、相手の話を聞きながら「その時どう思ったの?」「どうしたいと感じた?」などと問いかけているうちに、深いところにある価値観に触れることができた、という感じです。
とうりょう:自分の大切にしている価値観に触れると、Andの部分はおのずと出てくるのでしょうね。そういう意味ではカーナはずっと相手を大切にする思いでひたすらYes していたのですね。
先ほどのWakaさんの事例は仕事という事柄に焦点があたり、今のカーナの事例は人に焦点が当たっていました。
我々は、この両方をバランスよく実行していく必要がありますね。
Waka:私のケースでは、相手の願いに気づかず、ただ相手の事柄にYesしていたんだと気づきました。
とうりょう:相談者の人も自分の深いところの価値観に気づきそこにYesしてもらうと、そこから自律的な成長が始まるかもしれませんね。ぜひまた実践していってみましょう。
縁楽:私は、特に仕事では、表面上相手にYesしつつ、実際にはAndで、自分のやりたい方向に相手を誘導している場面が多々あります。
とうりょう:そうですね。
相手の人の目的や思いを取り違えたままYes Andをしても、相手は真には納得していない、ということはよくありますね。
相手の人が反論してくれればそこで気づくこともできますが、「この人は自分のことをわかってくれない、受け止めてくれない。」と思われてそのまま離れていくこともよくある話です。
これを防ぐにはとにかく相手の真意を確認するしかないのです。
例えば我々がワークショップをファシリテーターとして進めている時に質問やコメントがでたら、「こう受け取りましたが合っていますか?」「お答えになっていますか?」と一つ一つ確認していくのです。
縁楽:そうすれば自分の勘違いに気づけるわけですね。
確認の障害になることとして、自分が理解力が低いと思われる恐れがあります。
とうりょう:そうですよね。そういう場合は特に、大切なことなので確認させてほしい、という意味づけをすることが大切です。
自分の価値観を通して受け取ったことを確認して、その上でしっかりYesし、それからAndしていくと、本当のYes Andになっていきますね。
ぜひこれも日々意識して実践してみましょう。
改めて今日の対話を通じて、Yesの前に確認する、問いを投げる、というところの重要性を私自身も感じることができました。ありがとうございました。
今日の対話で、改めてYes Andにおける、Yesの大切さ、そしてYesの前の確認や問いの大切さを知ることができました。
実践の場はたくさんあるので、ぜひ今日の気づき・学びを実践していきたいと思います。