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コラム

未来の幸せにつながる言葉とは?

実は今、ダイヤモンド社から刊行予定の書籍を準備中です。

ざっくりと内容をお伝えしますと、ビジネスの上で互いの信頼関係に至るステップとして口ぐせから始めてみませんかという、私なりの提案といったところです。

執筆のためだけでなく、普段の言葉選びにも慎重になる中、日増しに言葉に敏感に反応してしまう自分に気づくことが多くなってきました。

 

言葉に敏感になればなるほど、改めて人はそれぞれ自分の思い込みを持ち、その上で言葉を交わしているにすぎないのだな、と思い知る機会が増えたように思います。

 

たとえばクローズド・クエスチョンを投げかけられた際の受け答えなどは互いの思い込みを知るよいきっかけになります。

仕事に追われ、ついつい家のことが蔑ろになっている時に「仕事と家庭とどっちが大事?」と妻や恋人、あるいは同居中のパートナーから聞かれた経験は誰しも一度くらいあるのではないでしょうか。

 

この質問は言葉通りに受け取るなら「仕事」あるいは「家庭」のどちらかを選択する二者択一の質問です。

ですが、相手を決して満足させる回答にならないと皆さんもご存じのはずでしょう。

だとしたら、こんな質問を投げかけずにいられなかった相手の気持ちを考え、「さびしい思いをさせて悪かったね」と返せば、かかる火の粉は多少減るのではないでしょうか。

 

 

最近、こんなことがありました。

私自身が講師として「傾聴の大切さ」について講義を行った際のことです。

講義に基づいた実践としてグループワークを終えた直後、参加者のひとりからこんな質問がありました。

 

「ビジネスの現場で傾聴のコミュニケーションは本当に必要でしょうか?」

 

それまで割と時間をかけて講演をし、実践もした後で「必要か否か」という、そもそもの意義を覆しかねない、非常に閉じた問いかけをもらったことに内心、がっくりしました。

と同時にこの質問はストレートに「はい/いいえ」の二者択一で答えるべきではない、という私なりの思い込みを持つことにしました。

その思い込みとはこの人は「必要かどうかを聞きたいのではなく、自分を納得させて欲しい」と願っているのだ、というものです。

 

 

そこで私は次のように回答しました。

 

 

「仰るように、ビジネスのスタイルによっては傾聴が必要な場合、そうでない場合があるでしょう。これまで論理、実践と進んできて、足りないのは事例かもしれませんね」。

その上で「たとえば~」といくつかの事例、傾聴にまつわるエピソードの紹介を試みました。

すると、質問者の面持ちが和らいでいくのがわかりました。

最後に「あなたは今日、この場で新しい選択肢のひとつを手に入れたとお考えになってみてはいかがですか」と投げかけた時、とても満足そうな表情をされたので、胸をなでおろした次第です。

 

 

いま紹介した、ふたつの回答は実はどちらも相手の質問に答えてはいません。

ただ、共通してそこにあるのは相手を尊重し、相手の問いかけに価値を与えようという思いやりです。

難しいですよね。

言葉通りに受け取って質問に答えると、うっかり魔境に陥ってしまうのですから。

自分が納得できなくても、言葉を変わすことは「他者と交わる」ことです。たとえそれが思い込み同士の交わりだとしても、です。

 

場の研究所代表の清水博さんが「対話とは考えを分かち合うのではなく、考え方を分かち合う時間である」という意味の言葉を仰っていました。

さらに興味深いのは「自分の働きが広がる」ことを場の定義とされていることです。

 

 

互いにどんな考え方で向き合っているのか。

探りながら、相手の思いを尊重する気持ちを持つことではじめて「場ができる」。

人が人と集いたがるのは自分以外の誰かのために働きかけたい。

自分を超えた共感の循環を求めているからでしょう。

 

 

「どちらまで?」「ちょっとそこまで」という何気ない会話には確かに意味はありません。

それでも、心と心が通い合う、「共感」というぬくもりがあります。

 

 

情報社会の今、SNSやYouTube内に様々な言葉が溢れています。

いずれも一方通行の独白ですが、どんなに言葉巧みであっても他者が欠落したものの言い方をする人のところに人は集まりません。

 

 

ビジネスの上でも同じでしょう。

「他人を論破してやろう」という競争原理から発せられた言葉からは、共創の活力は生まれにくいと言わざるをえません。

強いものが弱いものを打ち負かす原理でメンバーが疲弊してしまうような職場で誰が働きたいと思うでしょうか。

これからは誰もが「明るくあたたかい、自分の居場所」の中で活かされている自分を取り戻す時代です。

弱いものが支え合い、共に繁栄していく明るい未来。

そんな未来にふさわしい言葉とは一体、どんなものでしょうか。

 

 

そんな視点で思いを巡らせてみると、「ごきげんよう」「さようなら」というシンプルな挨拶にこめられた思いの深さに驚くばかりです。

このたったふたつの挨拶には最近どうですか?と相手を慮り、「さようならば(ごきげんよろしいならば)」、また会う日までますます栄あれ、という願いが込められているからです。

いずれも未来の幸せにつながる言葉です。

願わくば、こんな素敵な言葉で語り合える環境で働きたいものです。

 

 

それでは皆様、「ごきげんよう」「さようなら」。

 

代表取締役 中島崇学

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