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コラム

さて、どちらへ行こう 風が吹く

明けましておめでとうございます。

 

「一年の計は元旦にあり」と言いますが、私は年始に抱負や希望を改めて語るのは案外、苦手かもしれません。

新しい年、新しい自分。ならば、まっさらな自分でありたい。咄嗟にそう願ってしまいます。

 

 

「さて、どちらへ行こう 風が吹く」は言わずもがな、種田山頭火の句ですが、いいですよね。

人生は選択の繰り返しですが、岐路に立たされた時に「よし、風任せに行こう」と肚をくくる潔さ。

 

先人はこういったからとか、研修やセミナーでこう習ったからという外から得た知識だけでは立ち行かない現実にいかに対処していくか。

今、現場を生きるリーダーが抱える悩みのほとんどがここに集結しているように思えます。

 

 

頭が真白になったとき、虚を突かれたとき。

人は思いがけず、自分の持ち味を発揮できるのかもしれない。

今日はそんな気付きを得た、ある体験についてお話したいと思います。

 

 

それは昨年末、招聘されたセミナーでの出来事でした。

「社員の自律性を高めるためのリーダーシップコミュニケーションについて学びたい」というリクエストがあり、対象者は一流企業の幹部。

しかも、いわゆるリーダーシップ研修やセミナーの類を受けまくっているツワモノばかりとの触れ込み付きでした。

そんな猛者を相手に事前に座学の講義録を作成したところで楽しんでもらえないのではないか。

そんな思いがよぎりました。

すると先方からメンバーは前日に合宿研修をしているので、「合宿場で現状の問題意識をあぶり出し、それを当日に伝えるので、中島さんはその問題解決のための実践論を語って欲しい」という、願ってもないオーダーをいただいたわけです。

 

 

日頃のセミナーや研修では当然、事前に話す内容の骨子を決め、プレゼン用のパワーポイント資料などを用意します。

もちろん、当日会場にお見えになった方の表情や反応に照らし合わせ、内容を変えることはその都度しています。

料理人に喩えるなら、ある程度調理済みの皿をお持ちし、会場のニーズを現場で汲み取り、その場で味付けを変えるスタイルが私の日常だとするならば、今回は生の材料と調味料持参し、現場で調理をする、出張料理人の心意気で臨んだわけです。

 

 

ところが、蓋をあけてみると。

「前日に問題意識のすり合わせをする時間がなかった」とのこと。

つまり、「問題提起はありません」の状態からスタートすることになったのです。

 

 

そうなれば、もう仕方がありません。

まずは目の前にいる人が抱えているニーズを引き出すことから始めるしかありません。

いくつかの質疑応答のラリーの後、私はその場で4つの選択肢を用意しました。

 

 

  • 主体的なコミュニケーション(自律の「自」)について
  • 協調性を高めるコミュニケーション(自律の「律」)について
  • 自律的コミュニケーションの根幹となる自分軸について
  • 自律的コミュニケーションを可能にする安心安全な場づくりについて

 

 

どのテーマが最もお好みですか?と多数決を採ると、申し合わせたように見事に4つに割れたのです。

そこで隈なくもれなく4つの項目の全てに触れながら話を進めることにしました。

その時の私には何かを教え込もうとか、何かを持ちかえってもらうとか、そういう私欲は全くありませんでした。

この日のセミナーで話したことは全て「ただ目の前の人が本当に知りたがっていることについて話したい」という思いからでた言葉のみでした。

とはいえ、振り返ってみればいずれも自分の経験に基づいた、私に内在する知恵から出た言葉であり、個別具体的に対応したいという姿勢にブレはなかったと自負しています。

 

 

結果的に「まさに望んでいた研修でした。おかげで組織改革のための具体的なイメージができました」というフィードバックをいただき、胸をなでおろしました。

なぜなら、単に「いい話を聞きました」で終わるセミナーはその時はよくても会場を去れば忘れられしまうことが多いからです。

 

 

あの日、あの会場で「達成感を得た」と言ってくださった方は私の話を押し付けられたのではなく、私の話をきっかけに自ら自分の問題に気づき、自分で答えを見つけられた人だったと確信しています。

それは紛うことなく、その人だけの選択であり、自分で選んで自得できる人は次の問題を自分で探していける、知性を体得した人です。

私はその人の気付きや学び、発見を生むための養分でしかないからです。

全ては受け取る人が自分事として受け取り、発動し、変容していかなければ、感動も満足も生まれないからです。

自分は何に気づけるのか。

何を持ち帰るのか。

アンテナの感度は自分で磨く以外にありません。

その時、立場や責任という鎧を脱ぎ捨て、心の扉を開け放つことができる、「まっさらな自分」になれるかどうか。

 

 

現場で起きているリアルな問題に向き合うとき、初対面の相手とも強固な信頼関係を瞬時に結ばなければならないとき、「まっさらな自分」が感じ取った風向きに素直に随うこと。

 

風に背中を押される心地よさを知る。実はそんな胆力さえあれば、どんな風が吹こうが、楽しめるのではないでしょうか。

 

今年は、そんな「まっさらな自分」を楽しみ、味わう一年にしたいものです。

 

 

代表取締役 中島崇学

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