ピンチをチャンスに変えるには
共創アカデミーの小林です。
熊平美香さんの『リフレクション(内省の技術)』を読みました。
リフレクションとは一言で説明すると、
「自分自身」を認知の4点セット(意見・経験・感情・価値観)で振り返ることです。
これによって自分自身を深く知ることができるスキルです。
1.ある失敗経験
この本を読んでいる最中に自分の過去の失敗経験を思い出しました。
私が某IT企業の地方自治体システム開発部門にいたころの話です。
ある数億の案件で、落札するつもりのない案件を落札してしまったのです。
そもそも落札するつもりがなければ応札しなければよいのですが、その当時社内には「参加することに意義がある」という「空気」がありました。
そのためこのような案件には、推定予定価格から大分上乗せした価格で応札する、ということが慣例でした。
「落札してしまいました・・・」
部下からの悲痛な声の連絡があり、平静を保つことができず相当バタバタし、部下への𠮟責に及んだ記憶がよみがえってきました。
最大のピンチでした。
「ピンチをチャンスに変える」と言っても「言うが易し、行うが難し」です。
2.ピンチをチャンスに変える「解決社長」
弊社の研修プログラムで「解決社長」というワークをすることがあります。
3人一組で、その中の一人が社長役になります。
ほかの2名が「社長!大変です倉庫が火事になり、食品在庫が全部焼却しました!」などと最悪な事件発生を告げるのです。
社長はそれに対してすべてポジティブに答える、そういったエキサイティングなゲームです。
例えば社長は即座にこう答えます。
「ああそれはちょうどよかった!!倉庫の老朽化が以前より課題だったんだ。その跡地にピカピカの倉庫兼店舗を建てよう」
このようなパターンを何回も繰り返します。
まさにポジティブ反射神経の修行です。
まずは部下の発言を全面的にYESしてしまうこと、そのことによって報告を受けた社長はもう前向きに進むしか選択肢はなくなります。
現実にはなかなか難しいかもしれませんが、「修羅場トレーニング」としては有用だと思います。
3.リフレクションにより冷静に自分を振り返る
起こってしまったことは変えられません。
その時必要なのは叱責ではなく、迅速な原状回復と改善です。
事件の衝撃波に耐え、チーム全体が前進に向かうことが確信できたそのあとに、「原因の振り返り(叱責ではなく)」をやればいいのです。
しかし実際にはなかなかそううまくはいきません。
報告を受けたリーダーはその衝撃波に耐えられず、ネガティブな状態に後退してしまい、そのネガティブな感情をまとい、周りに発散していきます。
負のスパイラルで組織はますますネガティブになっていきます。
またリーダーとしての自分自身についてはなかなか内省できません。
このような事態に至った背景に自分には課題がなかったのか、という振り返りも必要です。
この振り返りによって、自分自身も成長するし、同時に部下も組織も成長します。
「怒りに基づく言動は短期的にすっきりするくらいしかメリットはなく、相手にも自分にも幸せな結果をもたらしません」
「リフレクション」より
先日のKDDIの通信障害によって私のスマホはアンテナピクトが立たず、大変不便な思いをしました。
86時間に及ぶ過去最大の通信障害でしたが、死に至る事例がなかったようで、不幸中の幸いでした。
ちなみに記者会見で高橋社長が、技術担当専務に回答を委ねずに自身の言葉で回答していたことがすごく印象に残りました。
稲盛和夫の薫陶を受けた社長は、数々の修羅場を潜り抜けた方なのだろうな、と思ってみておりました。