言う思いやり、言わない思いやり
いつものように週末の早朝。チームひだまりメンバー4名で、オンラインで対話をしています。
コロナウィルスの影響で日々変化が激しい毎日、きょうはどんな対話になるのでしょうか。
Waka:ついにうちの会社も今週から基本はリモートワークということになりました。今までは毎日顔を合わせる人が大半で、一部小さなお子さんのいる社員がリモートという形だったのですが、今週からはほぼ全員がリモートワークになりました。
縁楽:そうすると今まで会社にいる人が大部分で、一部リモートワーク、という状況だったのが大きく変わったのですね。周りの人とのちょっとした相談や雑談もしづらくなりますね。
カーナ:ある程度関係性ができていればそれがなくても回っていくかもしれませんが、この状況で新しく来た人にとっては、チームでのコミュニケーションが足りずに関係性を築くのに時間がかかりそうだなあと思います。ファシリーション塾でも、休憩中のちょっとした雑談で関係が深まると思うのですが、オンラインで雑談をすると全員に公開もされているわけで、それはまたちょっと違うもののように感じています。
縁楽:確かにオンラインだと公開雑談のようになってしまって、リアルで物理的に近くにいる人との雑談とはだいぶ違ってきますね。
カーナ:記事で読んだのですが、オンライン時代になって公開と分断が進んでいると。例えばFacebookグループやSlackだと投稿はそのグループの人全員がみられます。その一方でメールのような相手が限定されている閉じた世界もあり、閉じていることの安心感もあるだろうなあと思います。
とうりょう:公開しないコミュニケーション、例えばコピー機の前でのちょっとした雑談などと、公開するコミュニケーション、例えば会議などがありますね。オンラインだと声で公開しないコミュニケーションがしづらい、というのはあるのかもしれない。チャットなどはありますが。
カーナ:オンラインだと見えているのに聞こえない、というのも発生しますね。この間あるオンラインミーティングで、同じ場所から複数で参加されている人たちもいて、時々音声をミュートにしてふたりで会話するのが見えると、何を話しているのかなあと気になりました。
とうりょう:不特定多数のみんなの前で言いたいこと、言いたくないことがありますね。人間って言うこと、言わないことを選択していますよね。オンラインだと言わないことを持っているのが見えてしまうことがある、そうすると信頼されていないような気持ちになってしまうことになりますね。
一方チャットは場の流れをとめないので言いたいことをどんどん書ける安心感がありますが、今度は止まらなくなってしまう。リアルの場だとそれを言わない自制心というのが働くのですが。
カーナ:思ったことを言うこと、言わないことのバランスが大切なのかなあと思いました。
とうりょう:話す思いやり、自制する思いやりがそれぞれありますね。
「私はあなたのことを信頼しているのでこれを話します。」という「話す思いやり」は、相手の人は信頼されている、隠し事をされていないという安心感を感じることができますね。一方「自制する思いやり」、つまり話す前に自分が今言うことは本当に相手のためになるのだろうか、と考える思いやりというのもありますね。
縁楽:最近の社会では、自制することは、自信がないようなネガティブなイメージを持たれることが多いように思います。
とうりょう:確かに今の社会では言わないことはネガティブなことと捉えられがちですね。しかし自制するというのは自分を見つめて仲間と生きていくうえでとても大切なことと思います。
Waka:確かにチャットだと「今から書くことは場にどのように貢献するんだろうか」など深く考えてから投稿するのではなく、思いついたことをそのまま書いていますね。ためて出すというのとはだいぶ違うところにあるなと感じます。
とうりょう:「ためて出す」というのはいいですね。ためる時間の間にワインのように熟成されるような。ひと呼吸おく間に、これは周りから評価されたいために言うのか、相手に愛情を伝えるために言うのか、情報を伝えるために言うのか、考えることができますね。いろいろな自分の中の個性を見つめる機会とも言えますね。
Waka:せっかくなのでこのリモートワーク期間を、ひと呼吸おいて自分の言葉の意味を考える機会としたいと思います。
縁楽:自分のタイプを知る、ためて出すというのは自分にとっては苦手意識があるのですが、この機会にじっくり考えてみたいですね。
カーナ:この変化の激しい状況の中で自分が誰と話すのか、誰といるのか、今まで以上にその選択に対する感覚が研ぎ澄まされてくると感じます。
とうりょう:チームひだまりの対話を通じて、変化していく状況の中で見えていないものが見えてくるといいですよね。どんな時代が流れているのか、何がチャンスなのか、そんなことをこの対話の中から見えてくるといいなあと思いました。肌で感じていることを言葉にできるといいなあと。また対話しましょう。
このチームひだまりの対話の縁側が始まってから、状況は日々めまぐるしく変わっています。そんな中で私たち自身の中で起こっている変化について、これからも対話を重ねていきたいと思います。
※この対話は、3月末に行われたものです。
waka 記