転換期の今、誰もが「変わらなきゃ」と思っています。企業も組織もこれまでのやり方では生き残れないと皆、頭ではわかっています。でも、「どう変わったらいいのか、わからない」。それが本音ではないでしょうか。
正直に言えば、私も模索中です。私自身、「業績さえ上がれば、 幸せになる。それまでは我慢しろ」という大企業の滅私奉公文化が染みついた世代であり、組織と自分の限界を思い知らされた苦い経験を持っているからです。「変化に寛容でありたい」とひとり意気込み、人望のないなか手柄を焦った結果、大失敗したこともありました。組織の体質を変えることは想像以上に難しいことでした。
いま振り返れば、当時の私はチーム全体のことを慮っているつもりで、結局自分がどう評価されるかを優先し、目標達成のために自分が思い描いた筋書き通りに事が進まないと、不機嫌になってしまう。そんなワンマン上司の典型だったように思います。
しかし、そのやり方では誰も幸せになりません。それがこれまでの組織づくりの限界です。ご存じのように、もはや業績を上げ、結果を出すことを早急に求めるよりも、社員一人ひとりの幸せの実現を優先したほうが業績は上がる時代になっています。
前例のない未来の前では、現場の誰もが一人一人、共に知恵を出し合い、走りながら自分たちで答えを創っていくほかありません。そこで求められるのはトップダウン型の従来のリーダーよりも、現場を見守りながら併走できる新しいリーダーであり、相互理解と合意形成を促進するためのフラットな対話です。多くの企業が組織改革の手立てとして1on1やコーチングを活用し始めたのはそのためです。
さらに、組織の力をもっと大きな成果につなげたいなら、主体的で有機的なつながりが必要です。そのために誰もが安心して自分らしさを発揮できる場づくりがしたい。私自身がそう実感し、ファシリテーションの効果に注目したのは自然の流れでした。
まず、目指したのは互いを思いやり、尊重し合う、調和に包まれた場所と時間。
皆が持ち寄った知恵や情報を惜しみなく、持ち寄り、分かち合い、遠慮なく持ち帰ることができる「最高の居場所」です。こうして年から仲間たちと一緒にファシリテーションを浸透させる活動を続ける中で、いちばん変わったのは実は私自身かもしれません。それまで頭でっかちになっていた自分を謙虚に反省し、周りに心開けるようになってはじめて、見えてくる世界がありました。これまでの風景とはまるで違う、皆が機嫌よく、心地のいい場所でした。
果たしてそれが正解なのか。それは私自身もわかりません。ただ、ひとつだけ断言できます。組織は生きものです。集まる顔ぶれは違っても、愛情をかけて準備をすれば応えてくれるだけでなく、期待を大きく超える、命の棲みかです。人が集まる場にはそんな底知れない力がある。
未来が不透明な今だからこそ、これまで培ってきた場づくりのメソッドを活かし、ビジネスの現場に血を通わせ、波打つエネルギーに還元したい。そんな思いから共創アカデミーを設立致しました。今、ここから。皆さんと一緒に希望に満ち満ちた未来を創っていく。
それが私の覚悟です。
株式会社共創アカデミー 代表取締役 中島崇学