会議を変える5つのファシリテーションテクニック
多くの組織で、会議は貴重な時間を使っているにもかかわらず、期待した成果を生み出せていないという課題を抱えています。日本生産性本部の調査によれば、ビジネスパーソンの約70%が「会議は非効率」と感じているというデータもあります。
では、なぜ会議は非効率になりがちなのでしょうか。その主な原因は、目的の不明確さ、参加者の当事者意識の欠如、そして何より「対話の質」の低さにあります。
共創アカデミーでは、数多くの組織の会議改革をサポートしてきた経験から、会議を創造的で生産的な場に変えるファシリテーションの重要性を確信しています。
今回は、明日からすぐに実践できる「会議を変える5つのファシリテーションテクニック」をご紹介します。
1. ゴールイメージを明確にする
会議の冒頭で、「今日の会議で達成したいこと」と「この会議が終わるときに得られているべき成果物」を明確に共有することから始めます。曖昧な目的設定が会議の生産性を下げる最大の要因です。
実践方法:
- 会議の冒頭で「今日の目的は〇〇です。この会議が終わる時には△△について合意していることを目指します」と宣言する
- ホワイトボードやオンライン会議のチャット機能を使って、目的と成果物を視覚化する
- 会議の途中で話題が脱線したときに「私たちの目的は〇〇でしたね」と軌道修正する
2. チェックインを行う
会議の冒頭で参加者一人ひとりの状態を共有する「チェックイン」は、参加者の当事者意識を高め、心理的安全性を築く上で非常に効果的なテクニックです。
実践方法:
- 会議の冒頭で「それでは簡単なチェックインを行います。今日の気分や、この会議に期待することを一言ずつお願いします」と声をかける
- 各自30秒〜1分程度で、今の状態や期待を共有してもらう
- ファシリテーターが最初に例を示すことで、参加のハードルを下げる
3. 受け取ったことを確認する
多くの会議では、参加者が互いの意見を十分に理解する前に自分の意見を述べてしまい、対話が深まりません。「受け取ったことを確認する」とは、相手の発言をしっかりと聴き、理解したことを伝え返すことで、対話の質を高める手法です。
実践方法:
- あいづちやうなずきなど、非言語的なサインで「聴いている」ことを示す
- 「なるほど」「おっしゃる通りですね」など、相手の発言を受け止めていることを言葉で表現する
- 重要なポイントでは「〇〇さんのおっしゃったことは、△△という理解でよろしいでしょうか」と確認する
- 会議の参加者全員に「発言を受け止める」姿勢の大切さを伝える
4. イエスアンドの姿勢を持つ
会議での新しいアイデアは、しばしば「でも」や「しかし」という言葉で否定されがちです。「イエスアンド」は、まず相手の意見を受け入れ(イエス)、そこに新たな視点を付け加える(アンド)ことで、創造的な対話を促進します。
実践方法:
- 会議の冒頭でルールを共有:「今日は『でも』ではなく『はい、そして』で応答しましょう」
- ファシリテーターが率先して「はい、その視点は重要ですね。そして、こういう側面も考えられますね。」というモデルを示す
- 「でも」が出たときに優しく指摘し、「イエスアンド」への言い換えを促す
5. ネクストアクションを確認する
多くの会議は「議論はしたが具体的なアクションにつながらない」という状態で終わりがちです。「ネクストアクションの確認」は、会議の最後に具体的な行動計画と責任者、期限を明確にするテクニックです。
実践方法:
- 会議の終盤で「今日の議論から、具体的に明日から何をするのか整理しましょう」と宣言する
- WHO(誰が)、WHAT(何を)、WHEN(いつまでに)の形式で行動計画を整理する
- ホワイトボードや共有ドキュメントに記録し、会議後に参加者全員に共有する
- 次回会議の冒頭でネクストアクションの進捗を確認する習慣をつける
まとめ:明日から実践するために
これら5つのテクニックは、個別に用いることもできますが、組み合わせることでさらに効果的になります。例えば、冒頭で「ゴールイメージの明確化」と「チェックイン」を行い、議論の過程で「パラフレージング」と「イエスアンド」を用い、最後に「ネクストアクションの確認」で締めくくるという流れです。
いずれのテクニックも、最初は違和感を覚えるかもしれませんが、継続することで組織の対話の文化が変わり始めます。共創アカデミーのクライアント企業では、これらのテクニックを3ヶ月間実践した結果、会議の生産性が平均45%向上し、参加者の満足度も大幅に上昇しました。
変化は小さな一歩から始まります。明日の会議で、ぜひこれらのテクニックを一つでも試してみてください。そして、その効果をぜひ私たちにもお聞かせください。
より良い会議づくりのサポートが必要な場合は、共創アカデミーのファシリテーション研修プログラムや組織開発コンサルティングもご検討ください。