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コラム

六波羅蜜で読み解く、チーム創り

先回のコラムでは2020年末に私がセミナーで登壇した体験談をお伝えしました。

セミナーでは「変革チームのためのDXファシリテーションメソッド」と題し、主にオンラインを活用したチーム創りの経験から得た、共創アカデミー創設時の実践知について話をしました。

繰り返しになりますが、私は共創アカデミーを設立直後、DX化を目指したわけでなく、コロナ禍に見舞われ、無我夢中でオンライン化を推進せざるを得ない状況に追い込まれました。

皆さんにお伝えしたのは実体験から導き出したチーム創りのメソッドだったわけです。

先回、その時の顛末をコラムに執筆する過程で、思いがけない気づきがありました。今日はその気づきを共有したいと思います。

 

 

改めて去年の体験を振り返りながら、私は風土改革について頭を悩ませていた20年前の自分自身のことを思い出していました。

当時の私はジョン・P・コッター氏の「真の組織変革へ至るための8つのプロセス」なども熱心に読み、新たな組織づくりを模索中でした。

既にご存じの方も多いと思いますが、ジョン・Pコッターが説く8つのプロセスをざっくり大意ですが、参考までにここに挙げてみます。

 


 

社員に危機感を持たせる                      

変革を遂行する強力なチームをつくる

ふさわしいビジョンを定める                

ビジョンを組織全体に周知させる 

社員に変革のための機会と権限を与える 

小さな成果を実践して信頼を得る

さらに難しい課題に取り組む                 

変革を文化として根付かせる 

 


 

これらのプロセスは「リーダーが変革を起こすためにはどのような手順を踏んだらいいのか」という当時の私の疑問に対し、さまざまな示唆を与えてくれました。改めていま読み返しても新たな発見があります。

 

とはいえ、どこかしっくりこない読後感があったことも否めません。

 

今まで、がむしゃらに取り組んできた様々な組織づくりを振り返る中、セミナーで話をするために改めてジョン・P・コッター氏のプロセスになぞらえてチーム創りのメソッドを体系化しようと試みると、当時抱いた違和感が再び蘇りました。

 

たとえば、④ビジョンを周知する について。

もちろん、文化の違いなのでしょうが、頭で理解しても、どこか肚落ちしない自分がいます。

周知という言葉のニュアンスから伝わってくる、上から目線の説得や操作という印象がどうしても拭えないからです。

ビジョンに掲げられる気づきや能力や意欲は本来、共鳴したり、呼応したり、共振することで互いに引き出し合う関係性から紡ぎ出されるべきもののはず。

とかく説得や操作に訴え、知らしめようとするのは成果を出すことが目的になっている場合に陥りやすい罠なのではないか。

そんな思いがよぎったのです。

 

私たちが目指したのは共に分かち合う体験を宝とし、互いに成長し合い、永続的に社会貢献し続けられる組織づくりでした。

あれこれ試行錯誤の末、自分たちの体験を血肉化し、メソッドを編み出すため、ひとまずランダムにプロセスを書き出してみることにしたのです。

すると、驚くべきことに「六波羅蜜」の実践項目の手順に符合することに気づいたのです。

 

六波羅蜜とは大乗仏教において菩薩に課せられた6つの実践項目を意味します。

 
 
 

  1. 布施(ふせ)
  2. 持戒(じかい)
  3. 忍辱(にんにく)
  4. 精進(しょうじん)
  5. 禅定(ぜんじょう)
  6. 智慧(ちえ)

 

やむを得ず、オンラインを活用したチーム作りに着手した時、まず私たちが考えたのは「誰が何を困っているか」を目配りしながら、目標を設定することでした。

誰かの役に立ちたい、社会に貢献したいという発心は紛れもなく、利他の精神から生まれるものです。

 

菩薩が真理を説くにはまず、恐怖を除き、心理的安全な環境づくりを施すことが肝心。つまり、布施です。施しをするには「誰が何を困っているか」を知ることから始める必要があります。

 

目標が決まり、志を同じくしたメンバーを集まったなら。次に、集まる場所と時間を決め、やることを定める。言ってみればチーム内の規律と戒律を守る、持戒が生まれます。

 

ビジョンとゴールを共有するには仲間とのコミュニケーションが不可欠です。やるべきことを明確にするとは、やめる決断をすることでもありました。断念は時に痛みを伴い、自分たちが変わる必要がありました。同時に、苦難に耐え忍ぶタフさ=忍辱も求められました。

 

集中し目標に向かうためには、それまでの習慣を変えねばなりませんでした。チームの関係性を深めるため定期的な会合は不可欠でした。出来ることならリラックスした自由な雰囲気の中で仲間たちと一緒に心行くまで真剣に議論し合える場づくりがしたいと思っていました。

 

衆生に自ら手本を示し、たゆまず仏道を実践する菩薩のように、リーダーは自ら背中を見せ、自分の生き様を示しつつも、チーム全体がまっすぐゴールに向かって進むよう、いかなる時もメンバーと共に精進しなければならない。そんな覚悟を決めた日のことが思い出されもしました。

 

時には互いに短期成果を喜び、定期的に集まるメリットや仲間たちへの感謝や賛美を引き出し合い、モチベーションのメンテナンスを図ることも必要でした。これはジョン・P・コッター氏のいう、小さな成果を実現して信頼を得る(⑥)に通じます。この境地は瞑想により精神を統一させることを意味する禅定に似ていると感じました。

 

こうしたプロセスを経て、チーム内で生まれるのがまさに、智慧です。仲間たちと育んだ体制を振り返り、体系化し、実践知として根付かせる。これはジョン・P・コッター氏のいう、変革を文化として根付かせる(⑧)ことにも通じますね。

 

がむしゃらに走っている過程では考えもしませんでしたが、こうして生み出された共創アカデミーの実践知を組織のチーム創りに活用したいと言ってくださる方がいることに有難さと時代の風を感じます。

 

私は常々、新しい時代のリーダーは、トップダウン式の統率型の如来型リーダーではなく、仲間と共に実践する菩薩型であると確信しています。菩薩に課せられた6つの実践項目が共創アカデミーのチームづくりのプロセスと合致したのはあながち偶然ではないと自負しています。

 

代表取締役 中島崇学

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